屋根の葺き替え考

我が家の屋根は、家を建てた際に亡父が材を選び、10年ほど前には父が友人と共に塗装をし直した。
子供の頃は友達と屋根の上で走り回っては家が壊れると親にどやされ、少し育ってからは日向ぼっこや星見によじ登った。
屋根材はずっと変わらなかったから、自分の家の屋根といえばこれしか知らない。
いずれにせよ少なからぬ思い入れがある。


営業さんは力説してくれたが何でも新しくなれば嬉しいかったら一概にそうとも云えず。(だったら最初から頼むなよという話でもあるが)
住み続ける以上、家の保持が大切なのは承知。その為には全面葺き替えが合理的なのも納得できる。
ただ、今後この屋根は父親が塗装を重ねることも無く、自らの意向で葺き替えることも無いのを思うと、取り外して痕跡を消してしまうのが淋しい。
足跡や手の跡(見えないけど)や、していたであろう会話(聞こえないけど)、打った釘をそのままにしておきたい。
彼の想いが染み込んでいる気がする。そしてそれはそのままその場にあってこそ生き続ける気がする。
感傷的に過ぎるかもしれないが。


一部を残した葺き替えは半端な仕事であり、プロとしてのプライドが傷つく。その職人魂を足蹴にするつもりは無い。営業さんが言うように、想い出なら他の場所にだってあるさ。そりゃそうなんだが他は他。それに想い出云々に関しては、あんたにそんな事言われたか無いねってのが正直なところ。


数社から営業に来てもらって見積もり取って比較検討するべきなんだろうけれども今回で積極的コミュニケーション力を使い果たした感があるので、外部に頼むのであればここの業者にするだろうな。