諸事情により高い塀の中でくすぶっている内縁者(以下記:前科持ち;何を隠そうスッポニーの本来の飼い主である)が借りていた家に友人が住んでくれていたのだが、前科持ち氏の任期満了を待たず引っ越すことと相成った。
係わり合い上、まだ幾らか残っているという荷物を引き取りにその家に向かった。


先に到着していた友人。「いやぁ、思ってたより結構あってさ。自分のも混ざってるんだけど」
どれどれと家の中を覗いて愕然とした。
…一面のダンボール箱、どでかい食器棚にダイニングテーブル、本格的ガスオーブン。
そして尚且つ天袋や物置にも残っているらしい。借りた倉庫は2畳、どうやって押し込めろというのか。
雑巾片手に積もった土ぼこりや自分の残り財産と格闘している友人の周りを数分ほど当てもなくうろついた後、
「なぁ、ご飯食べに行こうや」と提案したものの即座に却下された。
力仕事は何とかこなせるが段取りや手際の良さにはあまり縁の無い二人。はかどろうはずも無く。
「これじゃぁ到底終わらんな」取りあえずした事は〈借家期間の1ヶ月延長〉。


処置は前向きでは無かったが出来た余裕で気分が前向きになった。
先ず友人の荷物を全て運び出し一間にまとめ、車に積む。それから前科持ち氏の荷物を掻き集め始めたのだ。が。
最終関門の天袋を開けて呟いた。「あーあ」
荷物の量に対してではない。そこに見えた鳥の羽に思わず首を垂れたのだ。
「言いたかないが、この戸、かなり長いこと開けてないね」
「来てから一度も無い。なんで」…5年である。
「鳩が死んでた跡がある。羽や骨の量は少ないから、猫が運んだのかも」
残骸を掃き出して縁の下に落とし、荷物下ろしを友人に代わる。
鳥臭い鳥臭いと言いながら下ろす荷物を受け取りまとめ、ひと段落。


用途や処分方法が不明の物も多く、産廃業者や粗大ごみ回収機関のお世話になるのは必須となった。他人様のものだからそうそう勝手な処分は出来ないが、任期満了まであと2年半。貸し倉庫代もバカにならない。なんとか一回り広いタイプを借りずに済ませたい。
さてさてどうしたものか。