ハナよ。

同居人として情けないぞ。
とうとう貴方はベランダまで奪われてしまったのか。
この前の追撃の勇姿は単なる勢いだったのか。
なぜ覗いただけでどっか行っちゃうんだ。


両親が居た頃から良く通ってきていて、その風貌から「ドクター」と呼んでいた外猫。
母が居なくなってからは父が追い返す為、全く姿を見なくなっていたのが、最近また訪れてくれるようになっている。
先日、近所の猫屋敷住人からその消息を聞き、「最近は家に来てくれなくなってしまった」と話をしたその次の日から、入れ替わるように現れたのである。
猫屋敷の人から話を聞いたのだろうかと思ったほどだ。


先程も庭の陽だまりで寛いでいた。
にしても餌場でもないベランダにまで、何故来るのか。
もしかしたら父親が居た時期もハナの出入り用に二階の窓を開けており、父不在の隙を見てそこから出入りしていたのかもしれない。階下にはハナの餌場がある。それを知っているのかもしれない。
さっき玄関口に猫缶を開けたばかりなのに。外猫三毛に先を越されたか。


ドクターが去った後、一階からハナが戻ってきた。
猫界にも色々シガラミがあるのかな。