別宅の大家に夕食会招待の連絡を頂いた。
長く居てくれたから。独りになってしまって可哀想だから。美味しい物作るから。
仕事の休みの日にでも是非にと言うのだ。
回覧板だの会費徴収だのが鬱陶しく町内会からも氏子からも除名してもらい、話しかけられるのが嫌で外へ出るときもなるべく路地を通らず下を向いて歩いている現状。それに十中十で親の話題になる。泣きに行くだけだ。
お申し出は非常に有難く大変に嬉しい事を繰り返し、情緒不安定を理由に丁重にお断りさせていただいた。そのまま伝わったかどうかは疑問だが、諦めて下さったらしい。


仕事場でもそうで課題の一つなんだが、「当たり障りの無い世間話」が出来ない。
テレビドラマも殆ど見ないし芸能界にも関心が無い、名前と顔がリンクする有名人も数少ない、時事にも疎い、知識も薄く、ポピュラーな趣味も無い。歓談できる話題を膨らませられないのだ。


自分の為に作ってもらった食事を無償で食べるのは憧れだし、お申し出を断るなんて失礼千万な話だけれど、本当に食べたい物は何かを思い知らされてしまうから受ける勇気はまだ無い。
そして、泣きたくない。堪える間もなく出てきてしまうから止めようが無い以上、危険性のある状況には出来る限り近寄りたくない。
素直に楽しもうと思えるようになる頃には、相手方は忘れてしまっているだろうな。