出会ったのはネットの掲示板だった。
「好きな人ができた。どうしよう。」そんなありふれた出だし。


ナルシスト全開なのを隠す事も無く、「いやそれチョッと異常でしょ」な性癖(?)を恥じる事も無く、掲示板にはありがちな揶揄や茶々にも華麗に対応し、自分の住まいや容姿をガンガン晒し、何に臆する事も無く、立ち向かうことはしないけれど逃げるわけでもなく、1年ちょっとの間に数々の名言を残してその掲示板から消えた人。


自分のセンスや能力を、隠す事をしないのに奢った風には見せず、内面や諸事を、長文短文問わず、とても細かく丁寧に描写し、まるで手に取るように絵に見るように表現していた。
平素な単語ばかりではないのに、実に解り易い。
彼の使う言葉達は、飾られてはいないのに、透明な煌きを放っていた。
プラチナが居る。そう思った。


他人の分析力に優れ、頭の回転が早く、状況把握に長けていて、自らが「後方支援型」と称するのが頷けた。
「この人だ」と決めた相手には絶対服従の姿勢を取り、守るため、支援するために鉄壁の防護を張る。
操作される事を好むけれども、それは同時に「操作させている」とも言える。
彼を操作できない人間は、彼とは一緒に居られない。
一緒に仕事をしている人にとっては、さぞかし有能なブレインだろうと思われる。



色恋の関係では無かったけれど、彼と接すると自己啓発が促された。
この人が居てくれるなら。と、なんでもできそうな気がした。
でも、
自分の全てを晒け出しているようでいて、見せているようでいて、私にはどうしても内面が見えなかった。
駆け引きを意識せずに出来る人は苦手だ。怖い。
そして、彼を利用するだけの資質が私には無かった。
出会ったタイミングが遅かったな。惜しかったな。
今はそう思う。


そんな彼に、彼女が出来たらしい。
「守って欲しいと思い続けていたけれど、守ってもらう必要が無いほど今の自分は強い」
良い人に会えたんだな。と嬉しくなった。
このままうまく行くといいね。